「ノッティングヒルの恋人」という
私にとって「忘れられない映画」がある。
ヒューグラント扮する本屋さんとジュリアロバーツ扮する大女優が
「旅行本」をきっかけに結ばれるという映画だ。
奥さんと結婚する前、
私は「美奈ちゃん」という大好きな女の子がいた。
「美奈ちゃん」との出会いは、
今から5年前の夏〜彼女もいない、縁もない、
私はいつものように「独身寮」で
当時はまっていた「グルーグマン教授」の本をゴロゴロしながら読んでいた。
ぴりりりりぃ♪ぴりりりりぃ♪
携帯がなったので出てみると会社の同僚の女の子からの電話
「今、近くで飲んでいるんだけど 出て来れない?」
「あ、うん、ええけど…」
急な呼び出し、
「なんやろ、 もしかして、『逆告白』されんのか!?
でも、あんまりかわいくないしなぁ〜」 など道すがら考え、
呼び出された「居酒屋」に着いた。
それが、「美奈ちゃん」との出会いである。
「いや〜、美奈とさ 『関西人』ついて話してたら
なべちゃん(←私)のこと思いついて呼び出したのよ。忙しかった?」
そんな、同僚の女の子の話など
どうでもいいくらい「美奈ちゃん」のことが気になっていた。
「なんか、おもしろい話してよ」という二人のリクエストに応え、
中学校のとき『大井』って奴がいて 「お〜い!」って呼ぶと『大井』が来て
「お前なんか、呼んでないわ、ボケ!」とか
「少ないって、『おおいって』」というと
また『大井』が来て「お前なんか、呼んでないわ
一人H、1日3回やったら、
『おおい』か少ないか話してたんじゃ、ボケ!」とか言って、
ず〜っと、からかっていたら
先生から 『大井!』『大井!』 聞こえてんのか『大井!』って
ず〜っと『大井』の奴、無視してんねん
そしたら、殴られてさぁ〜
「ははははは」
こんな「くだらない話」でも
無邪気に笑ってくれた「美奈ちゃん」が
ますます気になって調子に乗って、延々としゃべり続けた。
たのしい時間は過ぎるのが早い。
「もう電車なくなるから帰ろう」同僚の女の子が言った。
「すごい楽しかった!」と美奈ちゃんが言ってくれ、僕はうれしかった。
でもお別れするのがさみしかった…
寮に帰り、1時間程すると
ぴりりりりぃ♪ぴりりりりりぃ♪携帯がなった。
さっき一緒に飲んでた同僚の女の子だった。
「美奈ちゃんが、なべちゃんの携帯番号知りたいんだって教えてあげてもいい?」
「恋の女神」が微笑んだ!
それから、何度も何度も「美奈ちゃん」と遊んだ。
公園で「フリスビー」をしたり
動物園で猿にえさをあげたり
会社帰りに「日本料理」「イタリア料理」「タイ料理」何でも食べた。
何料理でもええ、美奈ちゃんといっしょなら!
同じ空気を感じるそれだけで
僕は「人生最高の日々」を過ごせた。
そして、日曜日は必ず「美奈ちゃん」の趣味である「映画鑑賞」に付き合った。
これが「普通の映画」でなく
都内で「単館上映」しているような「インディーズ映画」で
インドや韓国、ベトナム、フィリピン訳の分からないストーリーで
さすがに一緒にいることが「楽しく」てもこればかりは耐えられず
上映開始の「5分後」には熟睡していた。
そんな映画鑑賞の中の1つに
この「ノッティングヒルの恋人」があった。
なぜかこの映画だけは寝ずに全部観た。
「今日は寝なかったね。 気に入ったの?」
「うん、なんかね…」
それから数日後、
会社帰りに都内の「小料理屋」で二人、お酒を飲んでいた。
「渡したいものがあるんだ」
「何?」
「はい」渡されたのは、携帯ストラップ2個と一通の手紙。
手紙の内容はこんな感じだった。
《昨日、夜 「なべちゃん」に渡そうと 「携帯ストラップ」を作っていたら
何と!
エルビス・コステロの「she」がラジオから流れてきたの
あ、『ノッティングヒル』の曲だ!と思って
なべちゃんに電話したくなっちゃって
でも、もう遅いし、明日会うから思いとどまりました。
携帯ストラップ、「手作り」のが気に入らなかったら、どうしようと思ったから、
今日、デパートで買ったのも持っていくね。
でも「手作り」の選んでくれたら、うれしいな!
とにかく、どっちを選んでも 「大切に」してね。 》
かわぃぃぃぃぃ〜〜!うれしぃぃぃぃ〜〜!
でも、不器用な僕。
「あ、ありがとう」
その日は、我を忘れて日本酒を空けた。
でも、
そこから僕と「美奈ちゃん」の「天秤」がバランスをとれなくなった。
僕が、「美奈ちゃん」を好き過ぎて独占したくなったから…
追いかければ、追いかけるほど遠くなっていく、
二人の距離は変わっていないのに…
僕の心が、離れていくように見えているのだろう。
そして、運命の日。
僕と「美奈ちゃん」は水族館に来ていた。
季節は冬の足音が聞こえる秋。
二人、海の見えるベンチに座り
「美奈ちゃん、付き合って」
「今だって、付き合っているじゃん」
「いやそうじゃなくて、俺だけと付き合って」
「私、そういう束縛されるの嫌なのよ。今のままで、十分楽しいじゃん?」
「楽しいけど、いつか離れていきそうでつらいねん」
「やめようよ、そういう重たい関係」
今にして思うなぜ、あんなに「独占」したかったのか?
あのまま、楽しく過ごしていれば
今も「美奈ちゃん」と一緒にいたのじゃないか?
でも、「美奈ちゃん」を「自分のもの」に出来なかった僕は、
もう会うのはやめようと思った…
そのあと、二人で「イルカとアシカのショー」を観た。
日も落ち、秋風が冷たかった。
セーター1枚の僕は寒かった。
「美奈ちゃん」は自分のしていた「赤いマフラー」を僕の首にも回してくれた。
マフラーは暖かかった。
その暖かさが、余計に僕を寂しくさせた。
「赤いマフラー」は、二人を繋いでいるのに「美奈ちゃん」の心とは繋がっていない…
「赤いマフラー」は、僕を寂しくさせた。
1999年夏。
「美奈ちゃん」との思い出の夏は僕の心の中で、今も輝いている。
そして、
FMから流れるエルビス・コステロの「she」を聴くと、
今も、あの夏に帰れそうな気がする…
「ノッティングヒルの恋人」好きな人とご覧下さい。
僕は、娘が「恋」を知ったら一緒に観ようかな?!
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